《SHITEN chair》2015, Chair

「空間を平面(浮世絵)へ。そして平面(浮世絵)を立体へと次元変換する際に発生する不可思議なズレや不可逆性」をテーマに制作した椅子。浮世絵には「中国絵画の遠近法(三遠法/遠薄/高遠)」「大和絵の遠近法(吹抜屋台/逆遠近法/斜投影図)」さらには「西洋から輸入された遠近法(線遠近法)」が1つの画中に複数組み合わせたような構図で表現されているものがある。これらは空間や立体物の奥行きを表現するために複数の遠近法をもちいてコラージュ的に平面へ写し取ったものである。本作はこれら現実には存在しえない構図のその先の文脈をつくるため、そこから「現実に存在しえる立体物(3D)への次元還元」を試みた。
なお制作工程において「ズレ」をどう解消するか、また同時に、どのようにして耐荷重を得るかが課題であった。結果として非現実的構図が生んだズレは、力でねじりながら溶接固定することで解決しており、また同時にその「ねじれ」によって、僅か 2mmの薄い鉄鋼板でありながらも椅子としての着座に耐えうる構造を得ることに成功している。 意匠登録第1546559号 | 織田コレクション収蔵2017 | 展示: ミラノサローネ フォリ2015, 京都有斐閣弘道館2015, 東京藝術大学大学美術館2016 | 鉄鋼 H1200 x W900 x D1100mm

《SHOIN|書院》2014, Installation Art (Woodblock Prints and Objects)

京都の書院造建築で開催した個展。書院造の特徴を〈仕切・奥性・雁行〉の3テーマに設定し、それぞれのテーマで作品を制作し、各部屋の〈床の間〉に展示した。一般的に〈床の間〉は上座(室内入口から一番奥まったところ)に設えられるため、鑑賞者は〈床の間〉に置かれた作品を鑑賞することによって、部屋の奥はもちろん襖や廊下で仕切られた部屋を奥へ奥へと進む感覚〈仕切〉〈奥性〉、ならびに書院造の特徴であるジグザグとした空間動線〈雁行〉が体験できる内容となっている。 ミクストメディア(鉄鋼,木版画,紙版画)展示:京都有斐閣弘道館2015,東京藝術大学大学美術館2016

《SUZURI-BOX|硯箱》2014, Wagashi

琳派をテーマとした京菓子コンテストで大賞を受賞した和菓子。〈琳派〉における解釈を、尾形光琳と同時代を生きた歌人松尾芭蕉の俳諧理念〈不易流行〉と紐解き、不易と流行をそれぞれに記号化した2層の錦玉羹で表現している。上層は光琳の代表作「八橋蒔絵螺鈿硯箱」に描かれている斜め橋を記号化して〈流行〉を表現しており、また下層は小豆本来の美しさをあるがままに見せることで、いつの時代にも変わらない普遍性を意味する〈不易〉を表現している。 京菓子展「手のひらの自然-琳派400年企画展」デザイン部門大賞2014(京都)素材:錦玉羹,小豆創菓:老松展示:京都有斐閣弘道館

Series《View》《View2》2014- , Woodblock Prints

浮世絵の技法〈水性凸版木版, 手彫り, ばれん手摺り〉によって制作した木版画。縞文様に対する比較文化がテーマ。フランスの紋章学研究者のミシェル・パストゥローによると、縞を意味する英語 stripe の語源 strip には「栄誉や地位を奪う」という意味があり、フランス語 rayer(縞をつける) には「抹消する」という意味も含まれ、西洋の中世期にはハンセン病患者や死刑執行人などは縞の衣服の着用を命じられていたという。一方の日本江戸期は〈奢侈禁止令〉をきっかけに多様な縞文様が誕生しており、織物研究家の外山美艸によると日本には270種類もの縞の名前があったという。本作は縞における西洋の「罪」と日本の「粋」をテーマに、江戸の〈奢侈禁止令〉によって生まれた〈縞文様〉と〈四十八茶百鼠〉をもちいて、日本人の遊びの精神を表現している。国際木版画展入選2014 | 水性凸版木版画

《Wave》2015, Woodblock Print

ポーランドの国際版画コンペ〈クラコウ国際版画トリエンナーレ〉入選作品。室町・桃山・江戸、そして戦後バブル期のポップカルチャーなど、いつの時代もカルチャーと戯れてきた日本人の精神を表現している。制作技法は浮世絵と同じ技法(水性凸版木版、手彫り)に加え、制作当時(2015年)に流通しはじめたレーザーカッターを一部に使用しており、新しい木版画表現の文脈を模索した作品。クラコウ国際版画トリエンナーレ入選(ポーランド)2015水性凸版木版画

Series《ORI》 Woodblock Print(京都)2014

平面を折って多面的視点を得る〈ORI〉シリーズ。版画、Tシャツ、壁紙デザインなど。 水性凸版木版画,紙版画

《Banana Meets Toiletpaper》2008, Woodblock Print

在北京の伝統木版画留学中に制作した木版画であり、中国の春画をテーマに制作している。わたしが留学していた 2007-2008年の北京胡同では食事や散髪などの生活行為を戸外で行う人々が多く見られ、思えば中国春画も戸外を舞台に描かれることが多いことに気付き、この木版画を制作した。日本の春画は遊郭や市井の人々をモデルに描かれることが多く、戸内(室内)における性描写が多い。対して中国の春画は宮廷に暮らす人々がモデルとなることが多く、広大な中庭(半屋外)における牧歌的かつ開放的な性描写が多い。この中国春画の特徴を〈芝生・トイレットペーパー・バナナ〉をもちいて隠喩的に表現している。水性凸版木版画(宣紙紅星牌に天然鉱物顔料)

《Hidden Geometry》2008, Woodblock Print

本作品のミッションは「紙を折ったときに最も美しい角度を模索し、平面のテロリズムを企てる」こと。太宰治は著書『富嶽百景』のなかで平面芸術の浮世絵に描かれる富士山について実際の角度よりも鋭角になっていることを挙げ、西洋の透視図法的な構図ではなく描き手による意図が反映された角度で富士山が描かれていることを指摘している。それは現代の日本アニメにおける「シャフト角度(シャフ度)」にも通じるものがあり、菱川師宣《見返り美人図》から綿々と受け継がれている「一瞬が永遠になるための角度」といっても過言ではない。観る人の記憶に残すために既視感をわずかに超越した適度な違和感を与える角度、およびその表現について模索した作品。水性凸版木版画(宣紙紅星牌に天然鉱物顔料)

《Tokyo Dango|東京だんご》2019-, Architecture Dango Project

団子は米を材料としたフィンガーフードであり、古来より祭事との関わりが深く、郷土性を伝える食媒体の1つでもある。本作は現代の Tokyo の景観を団子に写し取るプロジェクトであり、郷土性のある食媒体をアップデートする試みとして行った。

《Kaleidoscopes Workshop|万華鏡ワークショップ》2015, Workshop

東京藝術大学陳列館で開催された「SENSE of Wonder展」の関連企画ワークショップ。マテリアルのもつ素材性への再発見と驚きをテーマとした企画展において、産業廃棄物企業様の協力を仰ぎ、産廃素材を使った万華鏡ワークショップを行った。廃材素材が万華鏡という回転装置(cycle)によって再生(Re-cycle)され、その繰り返される様相から持続可能なマテリアルの循環(Sustainable)を表現している。 廃材(樹脂ペレット,糸状の樹脂素材),アルミ筒,塩ビミラー,ホース,ガラスビー玉 | 展示:東京藝術大学陳列館2013 | 協力:産業廃棄物会社 株式会社ナカダイ

《Read a Book Shelves|本棚をよむ》2014- , Project

本棚を介して、その本棚の所有者を鑑賞するプロジェクト。「読書は自分で自分を編集する行為であり、人間は編集された作品である」という仮説をたて、本棚という媒介を通して所有者の人物像を描いている。

《SAKUTEIKI|作庭記》 2000, Media Art

かつて庭を所有できるのは権力や財力のある一部の限られた人たちであった。この作品を制作した2000年は日本国内におけるインターネットの世帯利用率が34%になった年である(1997年 6.4%, 1998年 11%, 1999年 19%, 2000年 34%, 2001年 60% 総務省調べ)。インターネットとデジタル技術の進歩によって、わたしたちの欲望は急速に実現可能となることを予感し、誰もが簡単にPCで庭をつくることができるゲームアプリ《作庭記》を制作した。題名は日本最古の庭園書『作庭記』から。 Macromedia Director, Power Macintosh | 展示:東北芸術工科大学 entrance gallery2000

《Discord》2001, Media Art

世界で最初にラップをしたのは中国人である、という仮説をたて制作した作品。中国の春秋時代に書かれたとされる書物『老子道徳経』をソースに、中国語の四声、および音節を Macromedia Directorで可視化させている。中国語と日本語は同じ漢字圏でありながら、その文法や発音は異なる。なかでも興味深いのが中国語における「四声(しせい)」という4種類の声調であり、発声音の高低によってその発語が指し示す漢字を絞り込む役割をもつ。同じ漢字圏の日本人は漢文を習う機会はあるが、その音声を聴く機会はない。世界で最初にラップをしたのは中国人であることを、この作品を聴けば / 見ればお分かりいただけるであろう。 Macromedia Director, Power Macintosh展示:山形県立美術館2001
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《BONSAI-no-utsuwa|凡才の器》1999, Kinetic Installation

東北芸術工科大学の本館 5Fから7Fの吹き抜け空間に、高さ4.2m × 1.5m × 1.5m のPVCシートでつくった透明な器を吊り下げ、そこへ来場者に風船を投入してもらう作品。上部には、器の中の風船を一気に破壊するためのクラッシャーを設置しており、展示最終日にその破壊パフォーマンスを行った。はたしてわたしたちは美大で何を学んでいるのか? という問いへの答えとして制作している。ミクストメディア H4200xW1500xD1500mm展示:東北芸術工科大学本館ギャラリー1999
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《Mourning Works》1999, Kinetic Installation

他者の死に対峙する〈喪の仕事〉をテーマにした作品。我々は自分で自分の顔を直接見ることができないように、我々は自分が死を体験し、それを第三者へ伝えることはできない。この絶対的な法則を前提に人々は死をどのように捉えているのかをリサーチし、この作品を制作している。中央の袋はブロワーとコントローラーによって膨張と収縮を繰り返し、その上に置かれているのは同一人物の2つの肖像写真である。 ミクストメディア(合皮,ブロワー,コントロールタイマー,生花)展示:space EDGE(渋谷)1999

《Gradayon|グラデーヨン》2018, Crayon

単一化された色の概念を解きほぐすためのクレヨン。赤いリンゴはよく観察すると1色だけではなく緑や茶色が混ざっており、空の色も時間によって色が変化する。自然の色は単一ではなく幅があり、そして時に移ろうもの。わたしたちは、わかりやすさや都合のために情報を省き記号化し編集してしまうこともあるが、それによって取りこぼしているものがある。 0 か 1かといったデジタルな線引きではなく、段階的にグラデーションのある感性でモノを捉えることへの再評価としてデザインしている。

《first clock》2019, Clock

はじめて時計を学ぶ、子どものための知育時計。色よりも形のほうが識別しやすいという子どもの認知特性に対応し、数字の配置と針形状を工夫している。また色覚障害のあるひとにも認識しやすい濃赤と淡水色の2色を使用している。

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